百貨店というところ

九谷塾として出展させて頂いております阪急うめだ本店での催事も残すところ今日、明日となりました。
正直、申し上げて自分の会社の仕事では全く関わりのない”百貨店”というところ・・・
16年前、自分の会社が危機的状況でいやおうなく石川県に戻り、今の会社で働き始めた頃
「九谷焼を販売する」ということが解らず、周りの同業他社を研究するところから始めたのですが
圧倒的に販路として大きかったのが百貨店という”売り場”でした。

販路が大きい=競合も多い

すでに多くの九谷焼の会社が参入し、そして苦戦を強いられているのを見た時に、本当に国内には
その市場しかないのか疑問に思ったのが最初でした。
そして、その市場がいったいどんなものなのかも知りたくて、お客様として何度も何度も百貨店に足を運び
売り場の対応、商品ラインナップ、顧客を眺め約1年をかけ考察した結果
自分の判断では「市場価値なし」と判断しました。

当時の百貨店は(あくまでも個人が感じた主観です)一見のお客様には厳しく、常連のお客様重視の
対応、そして販売している九谷焼他、伝統工芸品に対する知識の無さに正直、本当に国内での最大の
市場なのか?という疑問符しか思い浮かばなかったことだけが思い出されます。
もちろん、それが”百貨店スタイル”なのかもしれませんが一顧客として感じた疎外感的な雰囲気は
長らく払拭できず自分の購買スタイルにおいても百貨店という選択肢は削除されておりました。
そして時が経ち、自分の意思とは別に百貨店さんとの関わりを持つこととなった今回、当時とは少し
違う気持ちが生まれました。

圧倒的な販売量で市場を広げていた百貨店さんも10数年の時間の中で変化を求められたのかもしれません。
結論から申し上げると”百貨店さん”が好きに思えました。
もちろん古臭い考え方も残ってはいるものの、売りを追求する姿勢ではなくテーマパーク的な雰囲気が
今回の阪急百貨店さんには感じることができました。
「売る」という結果を求めているのは間違いありませんが、ただ「売る」のではなく、そこには百貨店さんで
働く方々に共感し購入されるお客様の姿がありました。

慣れない百貨店さんの催事で当初は苦痛でしかなかった準備も今となっては、素晴らしい経験に思えます。
普段のインターネット販売では経験することができない対面販売。
そこには色々なお客様の姿があり、そしてその一人一人が素敵なお客様であることを感じました。
たまたま、素敵なお客様だけに会ったのかもしれません、でも今回お会いできたお客様たちとは
この催事に出店していなければ出逢うことができなかった方々ばかり
何よりも素敵だなと思ったのは、そのお客様が「阪急百貨店さん」を大好きだと思っていること。
小さな商店レベルであればお客様との関係を築くのは、そう難しい話ではないと思います。
しかし、何百人、何千人規模で働く人たちがいる百貨店さんにおいてお客様との関係性を築くのは
長い年月とひとえに「人」の力が必要なはずなのに、それが築けている事実を目の当たりにして感動
すら覚えました。

「百貨店に行けば何でも揃う」 という時代から 「百貨店に行けばあの人に会える」 そんな感じを
お客様を見ていて思いました。
そこで働いている全ての方々が何らかのスペシャリストになれるとしたら・・・
百貨店さんって、国内最強の学びと購入の場になるかもしれませんね。
とにかく素敵な経験をさせていただきましたことに心より感謝申し上げます。