フードポルノと飲食店の関係性

最近、ネット記事やSNSで耳にする「フードポルノ」なる言葉、数年前までは聞いたことがなかった言葉です。なんとなくセンテンス的に刺激があるというか攻撃的というか、聞き手にとってはどこか不快感すら感じる言葉だと思います。ちょっと調べると、いわゆる食べ歩きブログやSNS投稿目的の飲食風景撮影のことを意味するらしいです。

フードポルノ(food porn)とは
料理店で料理や食事風景を撮影してネット上で公開すること。近年一般化しており、宣伝になると
歓迎する店もあれば、撮影マナーの悪さや知的財産の侵害を非難する店もある。
wikipediaより抜粋

私自身が数年前まで食べ歩きを趣味にしていたので、該当者にあたるのかもしれないということで
今回はこの”フードポルノ”をキーワードに書いてみようと思う。

そもそも食べ歩きがブログで紹介され始めたのが2002年頃だと思います。
もちろんブログという文化がアメリカから浸透し始めた当初から食べ歩きを綴る方が何人かいらっしゃった記憶があります。もちろんブログという言葉すら知らなかった人が大半なので、現在の食レポブーム的なものは予想できなかった時代です。
そこにライブドアブログやアメーバ、FC2などの無料ブログサービスが解禁になったことで一気にグルメブロガーと呼ばれる類のブログが広まった感があります。
そこにグルメ記事のポータルサイトとして登場した食べログが結論から言えば今のグルメ記事ブームに火をつけたこととなります。

さて私も2005年から数年、本気で食べ歩きをしていた時期があります。
もちろんですが当時はスマートフォンなどはなく、いわゆるガラケー時代でしたので携帯のカメラによる
撮影なんて画質が荒く、ブログに耐えられる質ではないため、大きな一眼を持ち歩き飲食店では
不審者でないことを説明したうえで撮影させて頂いた記憶があります。

幸いお店のご主人に説明し撮影の許可を頂くと必然的に会話が始まり、お店のこだわりとか料理に
対する情熱なんかを聞くことができ後日、ブログで書いたことを報告させて頂くと感謝されることも
少なくありませんでした。
時代が変り、今ではスマートフォンのカメラの性能がはるかに進歩し、わざわざ一眼を持っていく必要
がなくなった今、料理の写真を撮ることが当たり前の時代になりました。
それにともない飲食店の情報は爆発的に増え
料理の旨い、不味い、接客のよしあし、店構えについてまでお客側の一方的な主観で書かれいるのを
見るのが辛く、私の食べ歩きは終止符を打ちました。

誰かが書いた記事をもとに食べに伺い、自分の期待値と違うと否定的な言葉を書き連ねる。
確かに店側の不備が原因であることもありますが大概は個人の胸の内にしまっておくようなこと。
飲食店の経営者は仕事である以上、決して不快な思いをさせようなんて思っていないのですから。
紳士に意見する以上、匿名性の高いサイトというのは理不尽かつ不公平感に溢れてます。
近年、Rettyなどの実名口コミサイトが急激に利用者を増やしている理由がそこなんでしょうね。

観光で金沢に訪れている県外の方々と偶然、飲食店で出逢う機会が何度かあり、かなりの確立で
Rettyユーザーとお聞きしました。ハイスペックなカメラ片手にお店側と言葉を交わしながら記事を書く
ことを大切にしている方々という印象が強いです。

生活をかけて商売をしている飲食店を陥れるような情報発信ではなく、本当に心地よさを感じる事が
できたお店の”良さ”を見つけ共感を得る記事を書く、もっと言えば食事をまず楽しむことを優先し
絵日記的な記録として書き綴る、そんなグルメブロガーが増えることをせつに願います。
そして最近、私自身も久しぶりに食べ歩きを再開したいと考えてます。
写真を一枚も載せない文章だけで伝える食べ歩きブログ、お店の方々と言葉を交わし料理を味わい
その感動を文章に書き起こす。そんなコンテンツが今後作れたらと思ってます。